ロンドンでの住まい

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Hampstedの間借りNW3

 ロンドンでの住宅探しは本当に苦労した。住宅価格の高騰が続いており難しいであろうとの予想のもと、大学院が始まる一ヶ月前に住宅を探すためまだ会社に勤めていたがロンドンへわざわざ来た。しかし、当面の住宅さえ私の予算にかなうものはなかった。ポンドが対円で高かったことも影響していた。

 これまで各国へ仕事で訪れアパートなどを借りていたがこれほど予算と内容が合わないなかった都市は他にない。住宅価格が年率25%程度が10年以上も続いているという都市に長期滞在したことがなかったからだろう、2002年だけでも30%以上値上がりしている。当然、賃貸価格も上昇していたから、友人が留学していた6-7年前などまったく参考にならなかった。したがって自分の足と眼で判断する以外方法はなかった。

 大学のアコモデーション事務所でも斡旋はしていたので何度か通ってリストに掲載されているところへ何度となく電話し、足を運んだ。それでも適当な物件にはめぐり合えなかった。

 もちろん大学寮を申し込んであるのだが、時期がやや遅かったので返事が来ていないし、ほとんど無理であろうというのがUCLアコモデーション事務所とのやり取りでの判断であった。彼らは無理とは絶対に言わない。望みとしてはインターナショナルホールが9月中旬か個別ら申し込みを受け付けるということのみだった。

 最終的には大学のアコモデーション事務所も当てにならなかったのでLootというロンドンで住宅を探す際の情報誌を購入し、適当なところから電話をし、部屋を見に行った。

その中で、短期3ヶ月のオファーがHampsteadにあり、間借りとしては非情に高い印象(月800ポンド)だったが住宅が決まらないまま学業を始めることも負担になると思ってそこに決めた。大家家族と一緒だったがロンドンではこういうのは珍しくはないようだ。

International Hall (Russell Square) WC1N
 Hampstedはロンドンの中でも高級住宅地に位置付けられ、その環境は素晴らしい。直ぐ近くにハムステッドヒースという大きな公園がある、街の佇まいは落ち着いている。東京でいえば田園調布と並び称されている。ここから大学へは30分程度の距離であり通学にも都合が良かった。

 ただ、家族と一緒だということで、台所やバス・トイレを使うのが億劫になうる。そうしたいときにそうできないのは結構フラストレーションが溜まる。食事にしろ、バスにしろ。これまでほとんどそんなことに機を使わなくても良い生活を送ってきたから余計だろう。こういう環境にきっと私は慣れていないのだと思った。並みの日本人もきっとそうだろうと思う。

 最初からここは短期と考えていたので、可能な限り他の手も打っておいた。前回、住宅探しに来たときにロンドン大学が運営しているインターナショナルホールの募集を聞いていたので、出向いて申し込みをしておいた。まだ、Postgraduate用に空きがあるという。

 9月の末にホールからオファーの連絡があった。ここの家族とは少し打ち解けたばかりであったが、授業も始まっていない状況でいろいろと気にかかることが多いのでプライバシーがここよりは大学寮のほうがよさそうなので出ることにした。

インターナショナルホールは、ラッセルスクエアから歩いて数分の好立地。大学へも徒歩10分程度の距離であった。なんでも徒歩で事足りるのは便利であり健康的であった。それに都心ニ位置しているので散歩は楽しめた。

 このホールは食事付(2食、週末は3食)、掃除付、そして、リネンも供給されていた。よく言えば長期滞在用ホテルのようなもの。ただ、トイレ・バスが共同であった。UCLの寮ではensuiteというバストイレ付が普及しているので差ほど良い環境ではないといえるかもしれない。

 最悪の環境は工事の騒音だった。増築のために中庭に新しい寮を建設中で、私の部屋は中庭に向いていた。8時になると工事が始まり5時には終わる。したがって昼間は部屋で何も出来ない。眠ることも容易ではなかった。そんな状況なので部屋が空いていたのかもしれない。

 しかし、ここも3月一杯までの期限付き、学期途中で引っ越さなければならない運命にあった。1ヶ月555ポンド也。